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鈴木敦子新作展 [豊橋・牛川]

鈴木敦子新作展
2016年1月16日(土)~2月7日(日) 11:00~18:00
ギャラリーサンセリテ 2F 《入場無料》

サンセリテではお馴染みの鈴木敦子さんの個展が開催されています。

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彼女の作品の魅力はこのきめ細かな色彩の織り成す静謐な世界感であると感じております。

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そして今回、そのきめ細かな色彩がどのように生まれてくるのか、その謎が解けました。
それは鈴木敦子さん自身のご指導による版画の摺りの体験をさせていただいたのです。
木版画は大きく三つの行程に分けられます。
1・原画作り 2・版木を彫る 3・紙に摺る
木版画で最も知られている江戸時代の多色摺り木版錦絵、通称浮世絵ではそれぞれ分業制になっており、有名な葛飾北斎や安藤広重は原画を描く「下絵師」でした。
その絵を精巧に木の板に刻み付ける「彫師」がいて、その版木を用い、下絵師の指示通りに鮮やかに刷り上げる「摺師」によって一枚の浮世絵は作られていたのです。

さて、鈴木敦子さんはこの三つの行程を全てご自身で行っているそうです。絵を描き、版木を彫り、絵具や刷毛、バレンなどを用いて摺る。どの工程もおろそかにはできませんが、鈴木さんは最後の摺りがお好きだそうです。
たとえばこの二点の作品。描かれているものを比べれば同じもの。ですが摺りの段階で絵具を替えることでこんなに表情の異なる二つの作品となります。
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さて、擦りの行程を見て行きましょう。

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絵具は透明水彩を使います。版を重ねることで奥行きが生まれます。

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水で溶いた水彩絵の具を筆でチョイとつけて、擦り込み刷毛でこするように板面に広げます。
湿気を含ませておいた和紙を載せ、油紙を重ね、バレンで均等に押さえます。

そして摺ってみた一枚、先生のお手本です。
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私も挑戦です。お勤めの都合上、こんな時代劇のような格好です、すいません・・・。
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ひとつひとつの作業を指示通りになぞるように体験させていただきました。
絵具を載せて刷毛で手早く広げる。紙を取り出し、見当に合わせる。バレンを通して手のひらで版の当たりをさぐりつつ擦る。そっと紙を持ち上げ写し取られた絵具は光となり、影となっている。さらに二版、三版と重ねることでそこに空気感が生まれてくる。
絵具のつけ具合、紙の湿り気と室内の湿度、気温、手際の速度、バレンの力加減ひとつでその作品は様々に違ってくるということが分かりました。非常に繊細な作業ということです。
この緻密な作業を経てこれらの作品が生まれてきたことに気付くと、一層ここにある作品が輝きを増したように感じられるのです。

作品はもちろん購入できます。値段は手の届くという表現がふさわしいでしょう。例えるならば百貨店でカシミヤのカーディガンを買うくらいとしておきましょうか。
鈴木敦子の作品はそばにあるだけで心があたたまります。

スペシャルな道具の紹介


戸次祥子展 あの場所まで [豊橋・牛川]

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BEKKI Shoko Exhibition at Gallery SINCERITE
2015年12月3日~20日 11:00~18:00 水曜日休廊

サンセリテの常連、戸次祥子さんの展覧会です。
今回はいつものプレスした葉っぱのコラージュの作品と、木口木版の作品と、どちらも魅力たっぷりで、正に一粒で二度美味しい内容となっています。

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木口木版の作品群。壁に並んだ額の前に展示台が置いてあります。
その上には木口木版の版木が展示されていました。

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木口木版とは19世紀初頭のイギリスで発明された技法で、普通の木版画が板目木版(幹や枝を縦割りにしたもの)といわれるもので、描きたい線や形を残すようにして表現するのに対して、木口木版は幹や枝を輪切りにした面を使います。その木も目の詰まったツゲやツバキ(戸次さんはヤブツバキを使っているそうです)などを選び、ツルツルに磨き上げた木口にビュランという細ーい彫刻刀の一種で細かな線を刻み付けます。その線は摺ると白い線として残ります。
黒い画面に鋭い白い線描でもって表現するのが特徴です。

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このように作品はどこか神秘的で、夢の中のワンシーンかのようです。

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そしてコラージュの作品。
自然の葉の持つ色や表情を見事に活かして、単純な形の組み合わせながら、そこにはしっかりと世界が造られているようです。

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手が届くほど近くで見ているのに、どこか遠くを眺めているかのように感じます。
風が吹いているもの、雪が積もっているもの、陽が差しているもの・・・・白い背景がとても雄弁なのです。

ここに来て、あなたも作品の中に自分の中の少年を遊ばせてみてはいかがですか。
ひょっとしたら行けるかもしれません「あの場所まで」

ギャラリーサンセリテの情報はこちらです。
http://www.sincerite.info/

GEBINDE 鈴木よう子 ゲビンデ展 [豊橋・牛川]

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森からの贈り物 ゲビンデ展 鈴木よう子
2015年11月14日(土)~24日(火)
ギャラリー入船 12:00~18:00 入場無料


昨年に続き、ゲビンデの展覧会です。
 ゲビンデとは
ドイツ・オーストリアの伝統工芸。ドイツ語でbinden(ビンデン)=結わえ束ねたgebinde(ゲビンデ)=花などの束。教会の布教活動を支える為に売られたもので木の実やスパイス、造花をブリヨン(装飾用ワイヤー)やビーズ等と一緒に束ねて仕上げた室内装飾品。  (案内DMより)

昨年よりもパワーアップしたような印象をうけました。
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ご覧のように作品点数もぐっと増え、一点一点の作品も濃厚なものが多くあったように感じました。

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びっしりと寄り集まりながら、統一感があって重々しくないところが素敵です。

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会場のあちこちに天使がいました。ここで見る天使はとても自然な雰囲気で馴染んでいます。

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この一つ一つの花も作られたもの。まるで宝石箱から芽を出し咲き出したようですね。

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これらの木の実などには全て花に譬えると茎にあたる針金が付けられていて、芯から茎が伸びその先に花や実が付くようにまとめられています。ですから自然な(必然的な)感じでまとまっています。

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これは鳥のオブジェを背景にした作品。いっぺんにゴージャスな雰囲気に変わります。

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とってもおいしそうな作品。
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こちらはホールケーキのようです。

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男性の私でもこの華やかさには惹かれるものがあります。

会場に展示されている作品はすべて購入可能です。(もちろん作品は一点ものですので、売約がついてしまえば、同じものは手に入りません)

街にはクリスマスグッズが出回り始め、このゲビンデ風のものも見かけることもあるかもしれませんが、似て非なるものと断言しましょう。鈴木よう子氏の作品は本物です。ゲビンデとしていのちを宿しています。

ギャラリー入船の情報はこちらをご覧ください。http://g-irifune.jugem.jp/



大地の姿 [豊橋・牛川]

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味岡伸太郎展 「旅へ」
2015年10月30日(土)~11月23日(月) 11:00am-6:00pm 水曜休廊
Gallery SINCERITE ギャラリーサンセリテ

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美術作家・味岡伸太郎氏の展覧会である。
「土」がテーマであり素材である彼の展覧会は常に新鮮である。
今回はこの愛知県に点在する粘土の産出地をぐるりと円でつないだポイントに絞り、土の採取に行く。
それが「旅へ」ということであろうか。

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このように12時の位置の猿投から始まり(時計回りに)順に足助、設楽、新城、多米、赤沢、田原、篠島、美浜、常滑、柴田、長久手の12か所を巡り、各地点で地層ごとに分類して土を採取する。
それを水で伸ばし、接着剤と混ぜて紙に塗り付けて作品となる。
「土」と一口で言っても、それは色も粗さも異なり、実に様々な表情を見せている。
この地図では大きな円に描かれていますが、地球儀の上にこの円を印しても針で突いた点にもならないでしょう。そんな狭小な大地の一点でさえも、これだけの広がりがあることに改めて驚かされます。

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地層の積み重ねをそのまま紙の上に再現した作品の一部です。
これが私たちの暮らす大地の内部の姿であり、その歴史でもあるのですね。
宇宙といってもこの地球こそが私たちにとっての宇宙であるように、地球といってもこの私の立っているこの大地こそが私にとっての地球なのです。その大地も少し掘り下げれば全く異なる顔を出し、ほんの少し移動するだけでも違ってきます。
これらの土が私たちを育み、これらの土こそが大地そのものなのです。地球の一部であります。

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この圧倒的な力強さと素材自体がもつ優しさでもって、その大地の歴史と豊かさを私たちに示してくれます。
ちょっと気難しい展覧会と敬遠せずに、風景写真でも見に行くくらいの気構えでご覧いただいたらよろしいかと存じます。
豊橋にこれだけの良い作品を作られる美術作家がいるということ。
そしてこれら良い作品を良く見せてくださる良い画廊が豊橋にはあるということ。
これは素晴らしいことであります。ぜひお出かけいただきたい。

サンセリテの情報はこちらです。
http://www.sincerite.info/

リトルクリスマス 小さな版画展 [豊橋・牛川]

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小さな版画展 夢 2015・10/19(月)~29(木) 11:00~18:00
Gallery SINCERITE (入場無料)


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おなじみのギャラリーサンセリテ 2Fです。
ご覧のように同サイズの版画が横一列に並んでいます。
ここでは若手からベテランまでが統一規格の中で、その腕を競い合っております。
これは作家にとってかなり厳しいものでしょう。なぜなら版画の表現力そのものが一目瞭然で比べられるわけですから。
そうした個々の作品の味見をしながら一巡するという贅沢な時間が、ここギャラリーサンセリテで持つことができます。
さらにこの展覧会の素晴らしいところは各作品の価格が統一されていて、且つプリント枚数の少ない版画としては大変リーズナブルになっており、気に入ったものを一点、二点チョイスして自宅に飾るという楽しみも気軽にできちゃいます。

http://www.sincerite.info/

いくつか展示作品のサワリをご紹介します。
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めでたい・・・お正月に飾りたい

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緻密な描写が魅力。古代の化石を見ているようです。

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版画の楽しみのひとつに作家のサインのカッコよさがありますが、これは特におしゃれ。

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深~い夢の中で佇んでいる船、いや花?

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版画と印刷の決定的な違いは色だと思います。発色の質が根本的に別物だからです。

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この作家もいいなあ、欲しい作品のひとつ。




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