綿引明浩展 ILLUSION [豊橋・牛川]

綿引明浩展 ILLUSION 透明な絵画 2016年12月1日~20日
ギャラリーサンセリテにて
ご覧のように鮮やかな色彩で摩訶不思議な世界が描かれています。16世紀北方ルネッサンスの画家ボッシュを思い起こさせますが、こちらはカラリと晴れ渡っています。

とにかく会場に入るとまぶしいほどその色彩が目に飛び込んできます。それは鮮やかな絵の具が使われているということだけではありません。その技法にも特徴があるからです。

こちらは等身大の人物のシルエット。これは透明なアクリル板が支持体となっていて、ガラス絵のように裏から描いてあります。裏から描くということは最初に載せた絵の具が絵の最表部となり、後から塗った色はその背面、背景となってゆくという通常の描き方と反対の順序で描いてゆきます。これは完成した姿がきちんとイメージできていないと描けません。
ガラス(綿引氏はアクリル板を使っている)に直接塗られた絵の具はペタリと張りつき、研ぎ澄まされた色彩を放ちます。
さらに綿引氏はそのアクリル板をいくつにも重ねることで作品に不思議な立体感を作り出しています。
今回の展覧会には三種類の作品が並んでいます。一つはいわゆる平面作品(版画やタブロー)
二つ目はその幾重にもアクリル板を重ねた作品。これも近景、中景、遠景という構成で出来ていますので3Dなる立体作品といってもよいでしょう。そして三つ目が机の上に垂直に立っている立体作品です。

小さくてかわいいサイズながら強さとメッセージを秘めていると感じました。

描かれている奇妙な生き物たちは氏の幼いころから湧き出てきていたキャラクターだそうです。どれも幸福そうな様子が観る者を優しくしてくれます。
山本一樹展・・・・あと一日 [豊橋・牛川]

山本一樹展 風の記憶 -金属造形-
2016.11月5日(土)-27日(日)
ギャラリーサンセリテ
会期末での紹介で申し訳ありません。氏の作風がとても好きなので印象を記しておきたいと思います。
作品は 鍛金(たんきん)といって、鉄や銅の板を叩いて丸みを作り出し、溶接をしてつなぎ合わせ、凝った塗装をして作品にしてゆかれます。(塗装というよりも女性のお化粧に近いかもしれません。それほどデリケートなものです。)






金属ならではの硬質な光沢。だがそこにあるのはブランコ。記号化されたモチーフなのか、これを見つめていると何故だか幼い頃を思い出す。泣いたことや、けんかしたこともあったのに、思い出すとそれらはみんな懐かしさに包まれてしまっている。もうそれ以上変わりようがないくらい、凝縮してキラキラしている。

こちらも夕陽に向かって家路に急ぐ少年の頃の1ページを連想させる。そう、風が吹いている。
ペダルを漕ぐ、汗でシャツがはりついて、首筋から風が入ると、すうっとして気持ちがよかった。

こちらは山本氏の道具類のほんの一部。どれもご自身で加工されたオリジナルの道具ばかり。
作品はこれらの鎚によって打ち出される。大変な音と共に生まれてくるわけだ。
それが完成すると、一切の音を吞み込んでしまったかのように静寂をまとっている。
不思議だ。
ギャラリーサンセリテの情報です。
〒440-0862 愛知県豊橋市向山大池町18-11 am11:00 - pm6:00 水曜休廊
Tel: 0532-53-5651 Fax: 0532-52-6608 E-mail: art@sincerite.info
アクセス: JR・名鉄豊橋駅から豊鉄バス(4番乗り場)で約10分。「台町」バス停下車、徒歩1分。
戦没者慰霊祭のご案内 [豊橋・牛川]
豊橋仏教会では毎年、戦没者慰霊祭を催しています。
会場には遺族会の方が来られますが、戦後70年を越え、ご遺族自身もご高齢となられ、年々お参りに来られる方は減少しております。
しかし考えてみれば戦没者慰霊祭とはご遺族のためだけに行うものではありません。戦争を体験した方、そして戦後生まれの者にとっても、決して忘れてはならない大切なこととして「戦争」を思い出し、語り合い、歴史に訪ねてゆかねばならないと思います。
戦争犠牲者の尊いいのちを本当に敬うためには、なにをするべきなのかよくよく考えなくてはいけません。そうしたきっかけの一つにでもなってくれれば幸いです。

日時 2016年10月24日月曜日 13:00より
会場 豊橋公会堂(豊橋市役所前)
※入場無料 どなたでもお参りすることができます。お気軽にお立ちよりください。
式典に続いて特別公演がございます。
広島より日蓮宗本覚寺副住職・渡部公友師(わたなべこうゆう)にお越ししただきます。
渡部師は戦後生まれの45歳ですが、広島市被爆体験伝承者として各地で原爆、戦争の恐ろしさを伝える活動をボランティアで行っている方です。
当日、会場では写真資料なども紹介しながらお話ししてくださるとのこと、是非とも大勢の人にお聞きいただきたいと思います。
会場には遺族会の方が来られますが、戦後70年を越え、ご遺族自身もご高齢となられ、年々お参りに来られる方は減少しております。
しかし考えてみれば戦没者慰霊祭とはご遺族のためだけに行うものではありません。戦争を体験した方、そして戦後生まれの者にとっても、決して忘れてはならない大切なこととして「戦争」を思い出し、語り合い、歴史に訪ねてゆかねばならないと思います。
戦争犠牲者の尊いいのちを本当に敬うためには、なにをするべきなのかよくよく考えなくてはいけません。そうしたきっかけの一つにでもなってくれれば幸いです。

日時 2016年10月24日月曜日 13:00より
会場 豊橋公会堂(豊橋市役所前)
※入場無料 どなたでもお参りすることができます。お気軽にお立ちよりください。
式典に続いて特別公演がございます。
広島より日蓮宗本覚寺副住職・渡部公友師(わたなべこうゆう)にお越ししただきます。
渡部師は戦後生まれの45歳ですが、広島市被爆体験伝承者として各地で原爆、戦争の恐ろしさを伝える活動をボランティアで行っている方です。
当日、会場では写真資料なども紹介しながらお話ししてくださるとのこと、是非とも大勢の人にお聞きいただきたいと思います。
味岡伸太郎展1975-2016 [豊橋・牛川]

「味岡伸太郎展 1975-2016」2016年8月11日(木)~10月23日(日)
会場:ギャラリーサンセリテ(豊橋市向山大池町18-11 0532-53-5651)
味岡伸太郎氏の初期から現在までの作品が展示されている。若き日の老練な作品から、現在開催中の「あいちトリエンナーレ2016」に出品されている作品のコンセプトを凝縮したものまでが並び、静かで豊かな空間を生み出している。

氏の代表的作品にこうした土を素材にした平面作品があります。ご覧のようにゴツゴツ、ザラザラとした素材が目の前に起立している。こうした素材感に惹かれるだけでなく、この土という素材がどこからやってきたかということが、大きなテーマとなった作品がこちら。

これら70点の長方形はそれぞれ、ある場所から採取された土(あるいは泥)である。
その場所とは愛知県の県境に点在する峠。東は静岡県、北は長野県、岐阜県。西は三重県と接し、その県境に点在する峠をひとつひとつ丁寧に訪れ、さらにその周辺でむき出しとなった斜面を探す。
これは生息する植物を傷つけたり、景観に影響を残さぬよう土を採取するためだという。
崖になっているところ。工事中の地肌、がけ崩れの跡などを求め峠道をさまようらしい。

そうして取り集めたポイントを地図に記すとこういう具合なのである。この緻密さには恐れ入る。
改めて作品に目をやると、そこに広がる色のバリエーションに「ほー」と思わず感心してしまう。
「土」には色だけでなく、粒子の大きさなど誠に多彩であることで、「土」そのものの色が美しいということを、ここに立って初めて気づかされる。
これが私たちを足元から支えてくれている大地という世界であった。
お経には浄土という世界では大地は黄金によって覆いつくされているということが書かれているが、これは仏の眼(智慧によって正しく澄んだものの見方)には、大地にその素晴らしいかけがえの無いはたらきが映るということを表しているという。
味岡氏の眼もそれに近い眼をもっているようである。
ギャラリーサンセリテの情報はこちら
http://www.sincerite.info/
視座 [豊橋・牛川]

アンドリュー・ワイエス水彩・素描展
2016年7月16日~8月21日(日曜日) 豊橋美術博物館
会期あと三日しかありませんが、これは見てよかったと思ったので紹介だけでもしておきます。
アンドリュー・ワイエスとは20世紀アメリカを代表する画家のひとりです。迫真の描写力で描かれた日常風景は、単に「まるで写真のようだ」を超えて深遠な精神性を感じさせるまでに表現しています。
会場にはワイエスが「オルソン・ハウス」と呼ばれる海を臨む丘の上に建つ簡素な家と、そこに暮らすオルソン家の姉弟を題材に丁寧に描きとめた水彩画、スケッチが並んでいます。
その描写力には舌を巻くばかりなのですが、それ以上に作者ワイエスが見ている場所が、画面の手前に感じられ、絵と向き合うことにより、私も絵の延長線上に座らせてもらったようなリアルな距離感が感じられました。
画面からはワイエスが走らせる鉛筆の音や、粗い筆が紙を滑る時の振動が伝わってくるようでした。
これらのスケッチやデッサンは大きな作品のための準備として描かれたものというよりも、まずこれらのスケッチが描かれ、そこから発展して大きな作品、画面全体にかけて緻密に描き込まれた作品となっていったのであろうと思います。
こうした作品が埼玉県朝霧市の丸沼芸術の森に所蔵されていることにも驚きました。なんて素敵なコレクションだろう。それもこれらが揃うことによって、その意味合いが明確となり、説得力を持つことにつながっていることでしょう。
でも、一緒に行った私の連れ合いは、いかにもワイエスというような緻密に描き込まれた本作品を期待していたようで、なんかはぐらかされたように感じ、つまらなかったと感想を申しておりました。
私にとっては「これがワイエスか!」と胸を高まらせつつ鑑賞してきましたが、「え~、これがワイエスなの?」と思う人もいることでしょう。
でも、見ておいてもいいと思いますよ。空いているし、車は停められるし、安いし、涼しいし。
お出かけください。