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好きでこうなったんじゃないよね [日記、時候]

江口昇勇氏.jpg

今日は名古屋で研修でした。いつものお寺さんたちの研修とちょっと雰囲気が違うでしょ。
保護司の勉強会です。そしてそこで伺った話が非常に考えさせられる内容だったのです。

カウンセラーの江口昇勇(えぐちのりお)氏は非行行動や犯罪を犯してしまった少年少女たちと面談するお仕事をされていて、乳児院などにも関わりをお持ちだそうです。
そんな経験の中からいくつか私たち保護司に向けて、今の日本の現状というものを教えてくださいました。
いくつかの事例をご紹介くださったのですが、それは貧困の連鎖や虐待の連鎖などでした。

私たちが「普通」と思っている生活環境は決してすべての人が享受しているわけではなく、過酷または劣悪といっても良い環境での生活を強いられる子ども達が今の日本にはたくさんいるのだそうです。ある姉弟は生まれるとすぐに乳児院に預けられ、養護施設へ送られ、中学に上がる頃になると親が迎えに来る。ところがそれは手伝いが出来るようになったから引き戻されただけで、食べるものもないような家が待っていた、仕方がないので万引きしてでも、売春してでも生き延びるしかなかったいう事例もあったそうです。
そしてそれは特異な例ではなく、今こうしたネグレクトや虐待が増えはしても減ってはいかないというのが現状らしいのです。

その要因として親の資質が昔と比べ減衰していると指摘されました。
江口氏いわく、親になるということは「没我的献身」であると。つまり我が子に対して「この子のためには私は何を犠牲にしてもいとわない」という感情を持つことが親の証しであるというのです。
ところが今、子どもの事よりも自分の関心事の方が上としている大人が増えていると現場で感じるそうです。

少年院で江口氏が面談する少年少女はその多くがこうした成育歴を持ち、善も悪もなくただ生き延びるために盗んだり奪ったり襲ったりするしかなかったという。
江口氏は彼らに語りかけるまず始めに「よく頑張ってきたね、生きていてくれたね」そして犯罪を犯してしまったことについても「好きでこうなったんじゃないよね」と声を掛けるそうです。すると子ども達の表情がちょっと和らぐそうです。このわずかでも心を開いてくれることが、なによりも子どもに必要なことであろうと私は思います。

助け合える社会、見守りあう社会、やり直せる社会、受け入れてくれる社会。
そうした社会に少しでも近づいてゆけるよう、私はおせっかいジジイになろう。うっとうしがられるジジイになろう。キモくてダサいジジイになろう。
些細なきっかけであっても、ひとりの人間が過ちを犯す一歩手前で踏みとどまるということがあるかもしれないから。

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