SSブログ

「佐喜眞美術館のスタンス~丸木位里・俊、ケーテ・コルヴィッツを中心に」展 [日記、時候]

佐喜眞美術館1465.jpg
「佐喜眞美術館のスタンス~丸木位里・俊、ケーテ・コルヴィッツを中心に」展
2015年10月16日(金)~28日(水)12:15~18:00 入場無料
名古屋芸術大学Art&DesignCenter

http://www.nua.ac.jp/headline/12770.html

北名古屋市徳重にある名古屋芸術大学内Art&DesignCenterで開催中の展覧会に行きました。
これは沖縄にある佐喜眞美術館を訪れた名芸教授・西村正幸氏が佐喜眞道夫館長とお会いになり、今回の展覧会へとつながって実現したものです。
展示のメインとなる丸木位里・俊夫妻の『読谷三部作』(うち二点)が沖縄の地を離れての展示は初めてのことという貴重な機会となっております。

佐喜眞美術館2466.jpg


『読谷三部作』のうち二点は『チビチリガマ』と『シムクガマ』です。
「シムクガマ」は誰もいないガマ(洞窟)の光景。闇の中に浮き上がる鍾乳石や水の溜まった石の床などが描かれています。太平洋戦争沖縄戦においてこのシムクガマに隠れ潜んでいた約千人の人々は「死ぬ前に日の目だけは拝んでから・・」とガマから出てそのまま捕虜となり生き延びることができました。
画面全体を不思議な静寂が漂っています。

一方「チビチリガマ」では画面いっぱいに人間がうごめいています。チビチリガマでは「捕虜になったら残忍な方法で殺される」と異様な空気に包まれ、80名以上の人が集団死に走ったそうです。
「シムクガマ」とは対照的に「チビチリガマ」にはうめき声、叫び声、怒声、鳴き声が渦巻いています。
機関銃を構えた米兵に竹やりで立ち向かおうと目をむく若者。
白目をむいて動かなくなった赤ん坊にとりすがる母親。
後ろから男に羽交い絞めされた女が絶望の表情で注射をされる様子(多分毒薬の注射なのでしょう)。
ガマの奥にひとつ灯るロウソクの明かりは、黒々とさらに闇を深めているようです。
戦争という地獄がここに描かれています。
恐怖が憎しみを生み、憎しみがついには仲間を殺し、殺されるという恐ろしい世界です。

佐喜眞美術館3467.jpg

佐喜眞美術館には20世紀前半のドイツを代表する女流作家ケーテ・コルヴィッツの作品が集められています。


コルヴィッツは第一次大戦で18歳の次男ペーターをフランス戦線で失い、28年後の第二次大戦で今度は二男を想い同じ名前を付けた孫のペーターをロシア戦線で亡くしています。
そんな彼女の描くどの作品にも人間の愚かさ哀しさ、恐ろしさが迫りくるかのように表現されています。
コルヴィッツは生涯戦争の無い平和な未来が訪れることを信じて疑わず、常にこう語っていたそうです。

「あなたのいう通り、戦争がなくなったとしても、誰かがそれをまた発明するかもしれないし、誰かが新しい戦争をやり出すかもしれません。今まで長い間そうやってきたように。しかしいつかは新しい思想が生まれるでしょう。そして一切の戦争を根だやしにするでしょう。(中略)このような確信のうちにわたしは死にます。そのためには、人は非常な努力を払わなければなりません。しかし必ず、目的を達します。平和主義を単なる反戦と考えてはなりません。それは一つの新しい思想、人類を同朋としてみるところの理想なのです。」


オマケ
名芸大.jpg

名古屋芸術大学・西キャンパス(旧美術学部)
我が母校です。こんなに立派になって・・・・・(涙)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。