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増悪に負けない [新聞、書籍より]

先日アメリカ、サウスカロライナ州チャールストンの黒人教会で起きた銃乱射事件のその後です。
これは白人男性である容疑者が黒人に対する差別心が引き起こしたヘイトクライム(憎悪犯罪)と報道されています。つまり「黒人である」ということが理由で、無関係な人が無差別にいのちを奪われたということです。
犠牲となられた9名の方とそのご家族、友人の方々の悲しみはいかばかりかとお察しします。そして加害者に対しての怒りや憎しみも想像すらできないほどかと思うのですが、20日の新聞にこのような記事が載りました。


増悪に負けない409.jpg


遺族「憎悪に負けない」

アメリカの裁判制度のことはよくわからないのですが、容疑者に対する刑事手続きの中で、被害者の家族がモニター画面を通じて直接、容疑者に語りかけることができるらしいのです。
被害者家族はその悲しみや怒り、憎しみを訴えるものだろうと思いきや、その語られた内容に驚きました。

「あなたは私の英雄だった息子を撃ち殺した。体中の細胞を傷つけられたが、私は神があなたを守ってくれるよう祈っている」と涙を流したのは、事件で亡くなった26歳の息子の母親。

また、おじいさんを殺された孫娘は「祖父は憎しみの犠牲になった。それでもあなたの魂のために祈るのは、祖父たちがこの世に生きたことの証しになるからだ。憎悪には負けない」と語っている。

どうしてこれほどの寛容な心を持ち保つことができるのだろう。もし私が自分の妻や子を理不尽に殺害されたとしたら、私は憎悪に燃え、復讐の鬼と化すにちがいないと思う。

釈尊の言葉を頂戴しよう。
「実にこの世においては、およそ怨みに報いるに怨みを以てせば、ついに怨みの息むことがない。堪え忍ぶことによって、怨みは息む。これは永遠の真理である」(中村元訳『ブッダの真理のことば感興のことば』より)

信仰を持つことがその人の人生をより豊かにするものであるとするならば、このチャールストンの遺族たちの姿に私は「豊かになること」の意味を教えられます。

日本では凶悪な事件が起こるたびに刑罰の厳罰化が叫ばれ、死刑制度の賛否に及んでは、必ず「被害者遺族の心情を汲む」ためにも死刑制度は必要である論理は展開されるが、遺族の心情が果たして十分に量られたのかという事と、遺族の願いに「加害者の魂を祈る」というものも含まれていることを忘れてはならない。


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